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クレージー黄金作戦 (1967)監督・坪島 孝


開始より0:01(東京都港区元麻布)

一見しょぼくれた寺の住職、町田心乱(植木等)が托鉢に歩いているところから、この後の予想もしない展開が待ち受けている物語が始まる。
この一角、広い屋敷が多く、高級住宅街のようだ。



(撮影・2008・04・19)

ここは港区元麻布。当時と同じく今でも各国の大使館も多く見かける高級住宅街なのだが、以前のような落ち着いた佇まいは少なくなってしまった。作品では東京タワーの堂々とした姿を見ることができている。しかし現在ではかろうじて先端が見える程度だ。

(協力・メタBOの若大将さん)



開始より0:02(東京都目黒区八雲・目黒区立八雲保育園)

「えー、ただいま皆様方のお子様の入園祈祷をして差し上げました。一口10円以上、何口でも結構、どうぞ御喜捨ください」

麻布を歩いているはずの心乱が、今度は目黒区の八雲に突然現れる。静かな街の一角で、なにやら人が大勢集まっている様子。



(撮影・2011・10・02)


↓ ここは幼稚園の中庭。集まっている人々は、子供を名門幼稚園に入園させたい親達だった。そこで心乱は入園祈願の祈祷をして寄付を募り一儲けする。



(撮影・2011・10・02)

撮影に使用された幼稚園は、建物は建て替えられているが現在でも「目黒区立八雲保育園」となって存在する。
遊具などがある斜面は平らに整地され、階段などは取り払われていた。
しかしその上部に当時と変わらないと思われる石垣が残っている。
この保育園は「社長行状記」にも登場する。

(協力・メタBOの若大将さん)



開始より0:05(東京都文京区後楽)

幼稚園で一儲けしたギャンブル好きの町田心乱が競輪場から出てくる。
ここは競輪場、後楽園球場から外堀通りと神田川を一度にまたぎ、水道橋駅に結ばれる歩道橋上だ。
右奥に照明塔が見える。当時の後楽園球場の照明塔だ。現在は遊園地やドームホテルが建っている。
そして写真には写っていないが左奥に競輪場があった。競輪場が廃止されその場所に現在の東京ドームが建設された。その広大な敷地は東京ドーム一個分に相当するらしい。
歩道橋は手すりの形状が変わっていない。



(撮影・2011・09・23)


↓ 歩道橋の手すりにもたれる心乱。



(撮影・2011・09・23)

↑ 左が後楽園方面で右が水道橋駅。神田川の先はお茶の水方面。




(撮影・2011・09・23)

↑ 競輪場で知り合った哲学専攻の女子大生、海野月子(浜美枝)と心乱。正面がJR水道橋駅。総武線が走る。




この歩道橋は「後楽園ブリッジ」という名称がついている。「昭和39年8月27日竣工」とある。オリンピック直前だ。(東京オリンピック:昭和39年10月10日開幕)。
東京オリンピックではボクシング競技に「後楽園アイスパレス」(現在は解体)が使用されている。それに合わせて建設されたものかもしれない。「後楽園アイスパレス」はこのシーンの始め、町田心乱が競輪の新聞を片手に歩いてくるカットの背景に看板が写っている。
この映画に登場する「後楽園ブリッジ」は完成から3年後ということになる。
ちなみに「後楽園ブリッジ」と並んで神田川を渡る道路橋は「後楽橋」という。




開始より1:00(アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島ワイキキ海岸)

「女? 女ねえ、よーし、奥の手を出して一つ特別サービスといくか」

それから一時間の間にまあいろいろあって、町田心乱(植木等)は、国会議員の板垣重金(ハナ肇)、病院の医師、梨本金男(谷啓)と共にハワイはワイキキの浜辺で日光浴を楽しんでいるシーンとなる。日光浴はいいのだが女性がいないのは寂しい。そこで女性を集めるために、植木がおもむろにウクレレを取り出し、加山雄三の曲「二人だけの海」を唄いだす。
とたんに浜辺にいた女の子達が集まりだすが、植木の歌を遮るように唄いだす本物の加山雄三が現れる。すると女の子達はみんなそちらへ移ってしまう、というシーン。
クレージー映画に突然若大将が現れ、植木、加山、夢の顔合わせというわけなのだが・・・。
実はこれがなかなか複雑怪奇で怪しい「夢の顔合わせ」なのだ。詳しくはこちら。




(撮影・2010・07・05)


↓ すると偶然、心乱は後楽園の競輪場で知り合った海野月子に出会う。



(撮影・2015・11・09)

ここはワイキキ海岸でも西の端、ヒルトン・ハワイアンビレッジあたりの浜辺だ。ハワイロケをしている多くの東宝作品(ハワイの若大将、社長外遊記、ホノルル・東京・香港、南太平洋の若大将、など)でこのホテルが登場する。ヒルトン・ハワイアンビレッジは東宝ハワイロケの常宿になっているようだ。






 アメリカ本土ロケ

さてここから一行はアメリカ本土に渡ることになる。
元々が157分という長尺の作品なのだが、そのおよそ半分、約80分がアメリカ本土シーンで占められている。(アメリカに見せた日本でのセットシーンを含む)
ロサンジェルス、ラスベガス、そしてロサンジェルスからラスベガスへ至るまでの高速道路、砂漠地帯などが登場するのだが、名所はともかくとして、その全てのロケ地の詳細を50年近くが経った現在、特定できるなどとは思ってもいなかった。
しかしそれを実際に達成された方がいらっしゃるのです。

このIさんによるサイトをぜひご覧ください。ぜったい驚かれます。
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