モスラ対ゴジラ(1964) 開始から0:12

ホテルの一室での興行師、熊山(田島義文)。背後に絵皿が飾ってあるのに注目してほしい。そして壁に架けられた絵とサイドボードに置かれた本のようなもの。
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そしてここに写っている二人の小美人(ザ・ピーナッツ)は作り物ではなく本人だ。
小美人は30センチ足らずの身長ということなので、約6倍の大きさで作ったセットの中で演技をしている。
絵皿や絵や本、壁紙の色調や質感、本当に良く出来ている。
小美人はこの後、ソファーなどの置かれた床を逃げるのだが、そのあたりの様子も素晴らしい。作り物という感じがしないので、通常サイズ(人間が等身大)と6倍サイズ(小美人が等身大)の切り替えが自然で、まったく違和感を感じない。
これをご覧になられている方は「実物大と6倍サイズのセットに何か間違いでもあるのだろうな」と思われるかもしれない。確かに配置などに多少の違いはあるのだけれど、それはそれこそ「重箱の隅」とつつくというものだろう。ここでの本題はそんなことではなく、この小道具の絵皿が他の作品にも登場しているということなのだ。次の写真を目を皿のようにして見てほしい。
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↓ 社長洋行記(1962) 開始から0:13>
この「社長洋行記」、1962年の公開だ。「モスラ対ゴジラ」は1964年。この営業部長(加東大介)宅に登場する絵皿は「モスラ対ゴジラ」からの使い回しではなく、こちらの方が先だということが面白い。
「モスラ対ゴジラ」では小美人の小ささを表現するために「ありもの」の小道具を元に、その6倍のサイズの小道具(?)が作られたことになる。
「社長洋行記」では何気なく置かれたこの小道具、「モスラ対ゴジラ」では大きな役割を担うことになるわけだ。

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↓ 社長紳士録(1964)
「モスラ対ゴジラ」と同年の1964年、「社長紳士録」が公開されたが、ここでも同じ絵皿が登場している。

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↓ 緯度0大作戦(1969)
「モスラ対ゴジラ」から5年経った1969年、「緯度0大作戦」が公開されたが、再び同じ絵皿が登場している。
(協力:Tさん)

この絵皿、まだ撮影所の倉庫に眠っているのだろうか。
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