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野良犬 (1949)監督・黒澤 明 |
開始より0:12(東京都江東区佐賀~東京都中央区新川・永代橋) 「人権蹂躙で訴えるよ」 「ほう、オツな言葉を知ってるな」 「もっとオツな言葉も知ってるよ」 「ほう、何てんだい」 「バイバイ」 真夏の暑い日、新任刑事の村上(三船敏郎)は満員のバスの中で拳銃を擂られてしまう。スリを専門に捜査する市川刑事(河村黎吉)に相談した村上は女スリお銀(岸輝子)を突き止めるが、お銀はしらを切る。村上は拳銃の行方を追うためにお銀に食いついて離れない。 このカットは村上がお銀の行く先を追い、隅田川をまたぐ永代橋(えいたいばし)を渡るシーンだ。 「野良犬」は1949年の作品。この2009年の巡礼時までに、60年もの歳月が流れてしまった。 |
江東区側から中央区側へ永代橋を渡るお銀と村上。向こうに見える橋は清洲橋。 路面に都電の線路が見える。 |
(撮影・2009・09・27) 首都高速の隙間からわずかに清洲橋の二つ並んだ三角型の形状が見える。 太い支柱の間に細い支柱が7本。橋の手すりは当時と変わってないようだ。アーチを支える鉄骨の根本にある四角い箱状のものは、ライトアップするための照明装置。 |
巡礼メモ |
永代橋はかなりかっこいい。 優雅なカーブを描く水色の鋼鉄製アーチが、大きなリベットで固められている様はなんとも言えない。 永代橋が最初に架橋されたのは元禄11年(1698)のことだという。文化4年(1807)には現在も江戸三大祭りに数えられる深川富岡八幡宮の祭礼に詰めかけた群衆の重みに耐えきれず落橋事故が起きている。 その後、道路橋としては日本初の鉄橋として明治30年(1897)に架橋されるも関東大震災で被災する。 この現在の永代橋はその後に復興されたもので、大正15年(1926)に架橋されたものだ。ドイツのライン川に架かるルーデンドルフ鉄道橋をモデルにしたものだという。 |
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開始より0:23(東京都台東区上野公園・上野恩賜公園) |
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すられた拳銃は市中に出回っているとのヒントを得た村上は、復員者の姿で拳銃を追う。 村上が歩く人混みは、上野、アメ横あたりを想定しているらしい。 ロケとセットでの撮影を交えて捜査の様子がオーバーラップを多用した手法で再現される。当時の流行歌が流れる中を、目をギラつかせた村上刑事が歩き回る。10分間以上におよぶこのシーンは、この作品中、最大の見所だ。 その中に上野公園の西郷像前でのカットがある。 (撮影・2011・08・21) |
西郷像からカメラが下におりると村上刑事の足元。西郷像を囲む鉄柵は当時と変わっていない。 しかし巡礼時の上野公園は各所で工事中で、この柵の様子も作品と同じ位置からは撮影できなかった。 (撮影・2011・08・21) |
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参考資料「黒澤明 夢のあしあと」共同通信社 |
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