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銀座カンカン娘 (1949)監督・島 耕二 (新東宝製作・東宝配給)


開始より0:15(東京都港区元赤坂・国立国会図書館・現赤坂迎賓館)

お秋(高峰秀子)は画家を目指し、親友のお春(笠置シヅ子)と一緒に落語家(古今亭志ん生)の家に居候している。
ある日、お秋が犬を散歩させていると、とある映画会社のロケ隊に出会う。そしてその撮影にお秋が犬と一緒に出て欲しいという話になり、カメラの前に立つことになる。
撮影は進行し、映画のヒロインの女優が噴水の池に放り込まれる場面で、その代役にお春も呼ばれて出演することになる。
ここは現在の赤坂迎賓館である。本館の北側に位置する広場の噴水周辺がロケ地として使用されている。

噴水の脇を犬を連れてエキストラで出演するお秋。右奥に本館が見える。 (撮影・2011・11・06)
巡礼撮影日は参観日であったので、サービスで噴水が出されていた。

映画内に登場する映画の撮影に出演している男女の俳優。どうやら恋愛映画のようだ。 (撮影・2011・11・06)
現在の池の周りは植え込みで覆われていた。

お春は池に放り込まれてしまう。
笠置シヅ子も素晴らしいが、池の中央にある石造りの建造物やそれにあしらわれた彫刻などが素晴らしい。
(撮影・2011・11・06)
現在は映画撮影時より水位がだいぶ高い。
迎賓館の参観に同行してくれた奥さんに撮影のために水に入ってもらおうとも考えたが、奥さんにも迎賓館の人にも怒られそうなので断念。

撮影が終わり帰路につくお春、お秋の二人。
本館北西の角だ。
(撮影・2011・11・06)
現在の迎賓館。 撮影位置が作品の撮影位置ほど遠ざかることができなかったので、建物のパースのつき方がずいぶん違ってしまっているが、方向としてはこの方向。

巡礼メモ

「迎賓館とは、かつて紀州徳川家の江戸中屋敷があった広大な敷地の一部に、明治42年に東宮御所(後に赤坂離宮となる)として建設されたものです。
この建物は、昭和天皇や今上天皇が一時期お住まいになっら以外、東宮御所としてあまり使用されることなく、戦後、建物、敷地共に皇室から行政へ移管され、国立国会図書館、内閣法制局、東京オリンピック組織委員会などの公的機関に使用されていました。
この間、わが国が国際社会へ復帰し、国際関係が緊密化し、外国の賓客を迎えることが多くなったため、国の迎賓施設をつくる方針がたてられ、昭和42年に「旧赤坂離宮」を改修してこれに充てることとなり、昭和49年に現在の迎賓館が完成しました。
平成21年、創建当時の建物である旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)本館、正門、主庭噴水池等が国宝に指定されました」

と迎賓館のパンフレットに書いてある。(抜粋)

「銀座カンカン娘」を観たとき、このシーンはいったいどこなのだろう、と思った。日本にこんな場所があるんだろうか。
高峰秀子らは東京に住んでいる設定だ。だからロケ地も他県、ましてや外国などではないはずだ。しかしこんな建物や噴水は見たことがない。ストリートビューなどで上野の美術館や博物館あたりを見てみる。全然違う。噴水の形に特徴がある。航空写真を見てみる。あ、わかった!これだ。迎賓館だ。
よし、行ってみようと思うのだが迎賓館って入れるのか?
調べてみるとやっぱり入れない。そりゃそうだろう。
さらに調べると一年に一回、ある期間を決めて一般参観を許可しているらしい。例年だと8月に行われるのだが、今年は震災があった関係で電力をあまり使わない11月に行われるという。抽選のようだ。まだ間に合う。早速応募のハガキを出す。当たりますように。
10月、当選のハガキが来た!
当日行ってみるとけっこうチェックは厳しい。もちろん応募した当人でなければいけない。受付で当選のハガキと身分を証明するものを提示する。
館内の撮影は禁止。ハイヒールは不可。館内で手を触れていいものは階段の手すりだけ。しかしその厳しさは実際に見てみると納得できる。日本にこんなところがあったのか!


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