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喜劇 駅前女将 (1964)監督・佐伯幸三 |
開始より0:00(東京都墨田区江東橋・錦糸町南口駅前) 駅前シリーズの7作目「喜劇 駅前女将」は浅草橋、両国、錦糸町といった東京下町が舞台だ。 このメインタイトル場面のバックは国鉄総武線錦糸町駅南口前。駅前広場はバスのターミナルになっている。手前には都電も見える。画面左に見えるのは「駅ビルきんし町」。テレビだったかラジオだったか「♪駅ビルきんし町〜」という歌をよく聞いた。商業施設の入った駅ビルの草分け的存在だ。画面右寄りに見えるビルは「東京楽天地」という東宝系の興行施設ビルだ。 作品中、興味深いセリフが出て来る。 20年ぶりに下町に戻ってきた元芸者さん(淡島千景)がつぶやく。 「私がいた頃は両国が賑やかでこの辺(錦糸町)がさみしかった」 現在はもちろんだが作品公開当時もさみしいなどということはない。錦糸町は一大歓楽街として発展している。しかし戦後まもなくの頃はさみしい街だったのだろうか。 |
(撮影・2010・03・14) 「駅ビルきんし町」は現在では「テルミナ」と名称を変えている。近代的に模様替えされているが建物自体は当時と同じではないだろうか。 「東京楽天地」は建て替えられ、複合娯楽ビルとなっている。 |
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開始より0:00(東京都中央区東日本橋) このタイトルバックは隅田川に架かる「両国橋」を西側から見た画面。橋の向こうに見えるドーム屋根は旧両国国技館で、この作品公開時は日大講堂として使用されていた。建物の完成は1909(明治42)というから相当に古い。当時としては画期的な大建築として評判を呼んだらしい。1983年に取り壊され現在はもう無い。 |
(撮影・2010・03・14) 当時の撮影位置と同じ場所を探すと、鉄柵があったりホームレスさんの荷物があったりと、このような眺めになってしまうのだが、これはたまたまであって、少し場所を移動すれば現在でも眺めのよい場所だ。 柵の石柱が残っている。川の向こう岸には首都高速が。 私は実は日大出身で。今は無い旧日大講堂での入学式に出席した。もう40年以上昔のことだが、その当時でも古い建物だなあ、という印象だった。 |
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開始より0:00(東京都台東区柳橋) このタイトルバックにも川と橋が写っている。ここは神田川が隅田川合流する直前の地点で、橋は「柳橋」だ。柳橋はここの地名でもある。 柳橋といえば芸者さん。粋な遊びの花柳界を連想させるが現在ではどうなのだろう。 |
(撮影・2012・09・17) 橋の手前に見える小さな木造の家は、柳橋名物になっている「小松屋」という佃煮屋さん。 浅草橋近辺は屋形船遊びの発着地になっている。現在でもこのあたりにはたくさんの屋形船がつながれていた。 |
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開始より0:02(東京都墨田区江東橋) 両国の酒屋「吉良屋」の主人(森繁久彌)と、柳橋の寿司屋「孫鮨」の旦那(伴淳三郎) は義理の兄弟。今日はタクシーに乗り、錦糸町のバーに遊びに来た。 錦糸町南口駅前広場から細い道を入ってくる。 この頃、東京のタクシーはクラウンとセドリックがほとんどだったが、これは珍しくいすゞのベレル。 |
(撮影・2010・03・14) タクシーが曲がる角に「パチンコ銀星」という看板が見える。現在も同じ名前のパチンコ店はあったが、営業はしていないようだった。 通りの向こうに見えるビルは「駅ビルきんし町」(現テルミナ)。 |
(撮影・2010・03・14) パチンコ店の角を右に曲がると錦糸町駅前から一本裏通りにある商店街。建物は建て替えられているが、当時と同じ場所にある店も何軒か見かけた。 |
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開始より0:18(東京都墨田区横網・両国西口駅前) 元芸者のおけいちゃん(淡島千景)が両国の駅に降り立つシーン。 |
(撮影・2010・03・14) 当時の両国駅の駅舎はもう無いんだとばかり思って訪れてみたらそのまま残っていたのでびっくり。 |
(撮影・2010・03・21) タクシー乗り場になっている駅前広場も変わってない。このすぐ隣に現在の両国国技館がある。 |
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開始より0:19(東京都墨田区横網) 隅田川を通る水上バスの船上から見た水上バスの両国駅のりば。水上バスの係員(大空真弓)が手を振る。 |
(撮影・2010・03・14) 現在はこの場所には水上バスは停まらない。もう少し川上に移転している。 |
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開始より0:42(東京都台東区柳橋) 孫さん(伴淳三郎)の寿司屋「孫鮨」は柳橋のたもとに店を構えている。自転車の女性は寿司屋に出入りしているクリーニング屋(三木のり平)の奥さん(音羽信子)。 |
(撮影・2012・09・17) 「孫鮨」のあった場所は今ではマンション。 |
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開始より0:44(東京都墨田区江東橋・江東寺) 「孫鮨」の女将(京塚昌子)と「吉良屋」の女房(森光子)は旦那衆の浮気を突きとめようと、「孫鮨」の旦那の弟(フランキー堺)を無理矢理誘い、三人で錦糸町のバーのマダム(淡路恵子)の店に乗り込む。途中、錦糸町の寺の前で手を合わせる三人。 |
(撮影・2019・10・09) 現在はこの「江東寺」、鉄筋コンクリート造りの本堂が建立されていて(1870年建立)、映画撮影時のカメラ位置からは撮影できない。そこでなるべく下がった位置から二つの石灯籠の位置を基準にして、左右に振った2枚の写真を合成した。 |
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開始より1:05(東京都墨田区横網) 水上バスの当時の「両国駅のりば」は総武線が隅田川を渡る橋のすぐ下にあったようだ。 川の向こうが浅草橋駅、手前が両国駅。 |
(撮影・2010・03・14) 現在の川沿いはきれいなタイル張りの遊歩道になっている。大相撲本場所の地元であるので、遊歩道の壁面や手すりに相撲にちなんだデザインをたくさん見ることができる。 |
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巡礼メモ1 |
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日頃の行いが悪いとこれである。 「あれ?柳橋が無い!」と一瞬思った。しかしあった、あった。塗装工事をやっているようで、足場が組まれ全体がシートで覆われていたのだ。うっすらとアーチ型が見えている。これは再巡礼だなあ。 「ついてないなあ」と思いながらも写真を撮っていたら、それを不思議そうに見ている犬を連れた年配のご婦人がいた。 「今日は生憎ねえ。今月いっぱいは工事だそうよ」 「そうなんですか。お近くにお住まいなんですか?」 「そうよ。古いわよ。昔はここら辺は料亭がいっぱいあって、あっちの方に市丸の料亭があって・・・」 などと教えてくれた。 (撮影・2010・03・14) |
巡礼メモ2 |
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柳橋を再巡礼してきました。 最初に柳橋に訪れた時は塗装工事でシートがかかっていて気が付かなかったが、今回は欄干のところどころに、ちょっと洒落た飾りが付いるのを発見。柳橋は芸者さんの街だったので、それに相応しく「かんざし」という粋なはからい。 (撮影・2012・09・17) |
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