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南太平洋の若大将 (1967)監督・古澤憲吾


開始より0:23(東京都杉並区天沼1丁目・日本大学第二高等学校)

「おーい、田沼、急いでどこ行くんだよ」
「おう、羽田だよ」
「羽田? お前、まさか澄ちゃん迎えに行くんじゃねえだろうな」


若大将シリーズ9作目(第7作目の後に公開された「歌う若大将」を含めないで)。
若大将が在籍している大学はこれまで「京南大学」ということだったが、本作品では「日本水産大学」となっている。しかしこの後に製作される二作の大学生若大将シリーズ(「ゴー!ゴー!若大将」「リオの若大将」)では再び「京南大学」に戻る。

赤いオープンカーを学校に乗り入れている友人の石山(田中邦衛)が、柔道部員である若大将こと田沼雄一(加山雄三)に声をかける。
本作品の校内のロケには杉並にある日本大学第二高等学校(以下日大二高)が使用された。大学ではなく、高校が使われたのは面白い。





(撮影・2007・10・21)

正面に見える建物は一階が食堂になっている視聴覚教室がある校舎。右側に見えるのは体育館だ。 巡礼に訪れたのは作品公開からちょうど40年が経っているわけなのだが、この二つの建物は残っていた。しかしこれ以外の、教室などがある校舎は全てが建て替えられていた。
ほぼ同じ位置から撮影できたと思う。残っているこの二つの校舎は同じように見えるが、左端、右端にある樹木を見ると40年の経過が実感できる。




開始より0:38(東京都杉並区天沼1丁目・日本大学第二高等学校)




(撮影・2007・10・21)

石山が乗る車が学校の前を通り、正門から校内へと入るシーン。右側が学校だが、作品で白く見えている校舎は今は無い。作品撮影当時はバス停と電話ボックスが見えるあたりが正門だったのだが、現在の正門は移動していてこの位置ではない。
この画面に映っている道を地元の人は通称「二高通り」と呼んでいる。






開始より0:54(McCully St.Honolulu, HI)

「なかなか上手いじゃないの」
「いやあ、でもゴキゲンだなあ」
「あんまり飛ばすなよ、まだ大事な体だから」
「ハハハ」


ハワイで日本料理店「KYOYA」を経営している有田(左卜全)に、すき焼きの調理法伝授のため、「田能久」の息子である雄一がハワイへ向かう。
雄一がホノルル行きのパンアメリカン機に乗ると、スチュワーデスの澄子(星由里子)を追って乗り込んでいた石山に偶然出会う。
彼らがホノルル空港に着くと有田の孫娘、由美子(前田美波里)が車で出迎えている。
石山はホテルへ、由美子と雄一は有田の住まいへ向かう。
空港を出発した車は次第に市街へと入り、雄一が運転する車上から見たショットが続く。川沿いにS字形のカーブが見える。





(撮影・2015・11・08)

↑ ここは日本にいるときにストリートビューで見つけてあった。映画撮影のカメラは走る車からの映像なので道路の中央近く。徒歩の私には同じ位置からの撮影は難しく、少し後退した歩道上からの撮影になってしまった。交通量が意外と多く車道には立てないのだ。
ハワイの路上でのロケ地写真撮影は緊張する。日本で歩行者が道路を横断しようとする時、まず右を先に見る。車が左側通行なので、まず右から車が来るからだ。ところがハワイ(自動車が右側通行国)の路上で写真を撮ろうとする場合、ついうっかり右に注意していると突然左側から車が来る。右側通行だからあたり前だ。身についた癖はなかなか抜けないので危ない。住宅街の細い道路では横断しようとして車の通過を待っていると、車が止まって歩行者を優先してくれたりする。こういうマナーはなかなか日本では見られない。






(撮影・2015・11・08)

↑ 前のカットからちょっと進んだ位置からの撮影。このカットのカメラは車上ではなく地上に固定されている。私もなるべく当時のカメラに近い位置から撮影。画面左側に写っているマンションは同じもの。山の稜線も一致している。





開始より0:54(Kalia Road, Honolulu, HI, ・Hilton Hawaiian Village Waikiki Beach Resort)

途中、石山を降ろすためホテルに立ち寄る。東宝映画御用達の「ヒルトン・ハワイアンビレッジ」だ。
映画に映し出されるのはホテルのエントランス前のようだ。現在のエントランス前に立ってみる。すると遠景に見える建物の角度が一致する。ホテル敷地内の様子はずいぶんと変わっているが、このエントランス前の車寄せのようになっている位置は変わっていないようだ。




(撮影・2015・11・09)

↑ 現在写真に示している①はヒルトンホテル内の「Lagoon Towaer」(映画製作年の1967年竣工・これについては「聖地巡礼・喜劇駅前音頭」を参照)。②はヒルトンの隣に建つホテルで「Waikiki Marina Resort the Ilikai」。当時の画面と比べてみて、①、②が見える角度、重なり具合から当時のカメラ位置は大体このあたりと推定。





開始より0:55(Kalaepohaku St, Honolulu, HI)

「グランパ、田沼さんよ」
「いやあ、いらっしゃい」
「お世話になります」
「いやあ、お世話になるのはこっちの方ですたい」


石山をホテルで降ろし、田沼と由美子を乗せた車が市街地から高台の住宅街へと登って行く。 遠くにはワイキキ周辺のホテル群が見える。




(撮影・2010・07・05)

↑ ワイキキ沿いのホテルはずいぶんと高層ホテルが増えているが、この有田邸近くは驚くほど変わっていない。道路を見てほしい。マンホールの位置や、舗装の色の違いまでいっしょだ。これには驚いた。





(撮影・2010・07・05)

↑ 車は有田邸に到着する。ダイヤモンドヘッドを臨む絶景の場所だ。
カーポートが変わっているが家はそのまま。道路標識に隠れてしまっているが隣の家も変わっていない。
「ハワイの若大将」に登場したやはり左卜全が住む「古屋邸」もこの地域でロケされており、わずか300メートルくらいのご近所だ。

(協力・メタBOの若大将さん)








開始より1:25(東京都杉並区天沼1丁目・日本大学第二高等学校)




(撮影・2007・10・21)

田沼は間もなくオランダの強豪ヘイスティングとの試合を控え、校内でランニングをしている。このイチョウ並木、現在も残っていて日大二高のシンボルとなっている。





巡礼メモ

実は日大二高は私の母校だ。
メタBOの若大将さんから「若大将が在籍する大学のロケで使用された学校をどこか知りませんか」と聞かれ「私の出身校の日大二高なら南太平洋の若大将で撮影に使われましたよ」ということで今回の巡礼となった。

日曜日に訪れることになったが、オッサンが2名、無断で校内に入りカメラを持ってウロウロしていたのでは怪しまれる。女子もいる共学の高校なのだ。ツテを使って許可を取ることを試みたが、あいにくと予定した当日はある外部の団体の試験会場として貸し切ってあるらしく、許可が出せないらしい。しかたがないので、あたって砕けろということにして行ってみる。卒業生が久しぶりに学校を見に来たと言えばダメということはないだろう。
正門には守衛さんがいる。会釈をして通り過ぎる。あっさりと潜入に成功。ある外部団体の試験というのは年齢に関係のない社会人対象のようで、そういういろいろな人が出入りしている状態の日だったので、かえって入りやすかったようだ。ここだけの話であるが。

「南太平洋の若大将」の公開は1967年。ちょうど40年前だ。私が日大二高を卒業したのはその翌年の1968年。あれからほとんど母校を訪れてない。ずいぶんと変わってしまっているだろうと予想していたが、予想以上に変わっていた。
(2007年記)


ここに私が卒業した1968年にもらった卒業アルバムがある。1968年の3月に配られたアルバムだから、撮影されたのはおそらく1967年だろう。「南太平洋の若大将」が製作されたのと同じ年である!

以下にこのアルバムに載っている校内の写真の中から、何枚かを見ていただく。「南太平洋の若大将」の中でも同じようなアングルで撮影された場面があることにお気づきになると思う。



私の在学中(作品公開が1967年7月1日なので、おそらく私が三年生の春くらい)に自分たちの学校で若大将作品が撮影されたという話題が生徒たちの間で飛び交ったのはよく覚えている。
加山が、星が、江原が、田中邦衛が、そして古澤監督らが母校を訪れたことは、今はとても誇らしく思う。では在学中当時の生徒たちはどのような反応だったのだろう。やはりアイドルのような存在だったのだろうから、女子などはキャーキャーものだったのだろうか。しかしそういう記憶は無い。おそらく撮影が行われる予定は生徒たちには知らされなかったのだろう。そして後になって事実が知れ「若大将の撮影が行われたらしい」と話題になったのだと思う。
撮影は日曜か休日に行われたのだろう。作品を見ると在校生の姿はあたりまえだが見事に一人も見えない。休日でも部活の生徒などはいたものだ。見えるのは大学生役のエキストラだけ。おそらくこの日、在校生の登校は止められていたのだと思う。
しかしそれにしても生徒たちの反応は意外と冷静なものだった。と思う。二高生の気質か。今になって「おー!二高が写ってるよ!」と興奮しているのは私くらいのものか。

↓ 以下は作品に映し出される日大二高での場面が、学校内のどの場所で撮られたかを航空写真で見てみた。
航空写真は1975年のものだが、1967年当時とほとんど変化はない。




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