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続社長漫遊記 (1963)監督・杉江敏男


開始より1:25(東京都港区元赤坂・明治記念館)

太陽ペイントの社長秘書、木村(小林桂樹 )とタミエ(藤山陽子 )が結婚を決め、式場へ打ち合わせに行った帰りのシーン。
社長の堂本(森繁久彌)に仲人をお願いしようと考えていたのだが、社長の人格に疑問をもっているタミエは社長にはお願いしたくない、と言う。
ここは信濃町駅近くにある明治記念館だ。



(撮影・2007・11・28)



開始より1:26(東京都渋谷区代々木神園町・明治神宮)

木村とタミエが式場の予約をしに行った上のシーンの続きで、二人歩きながら相談していると、偶然、孫のお宮参りに神社を訪れた社長家族に出会う。
しかしここは明治記念館ではなく、いきなり明治神宮だ。

明治神宮の入り口は、JR山手線の原宿駅近くから入る南参道がよく知られている。最初その入り口にある鳥居の場所だと予想し行ってみた。おお、ここだ、ここだ、と撮影位置を探す。しかしどうもぴったりとこない。とても似てはいるのだけれど微妙に違うのだ。
境内にある地図を見る。すると参道が南、北、西の三カ所あることがわかった。そのそれぞれの入り口に鳥居があるようだ。それだけではない。参道を進んだ本殿近くにも鳥居があり、明治神宮には全部で七つの鳥居があることがわかった。
とりあえず次に代々木駅に近い北参道にある鳥居の場所に行ってみる。小さな社のような建物からしてどうやらここのような気がする。
入り口に警備員室があったので、作品のワンカットをプリントしたものを見てもらい、
「この写真は昔の映画からのものなんですが、この鳥居、どこだか分かりませんでしょうか」 と聞いてみた。60代くらいの警備の人は親切に、
「うーん、雰囲気からしてこの北参道だと思うねえ」
と教えてくれる。
「ほう、これは古い写真だねえ。今は舗装だけど、まだ砂利道だもんねえ」
なるほど。気がつかなかった。さすがだ。長年ここで警備をしておられるのだろう。
違う写真にも気がついて「これは森繁だねえ。女の人は司葉子?」
「あ、いえ、小林桂樹と藤山陽子という人です」
間違ったとはいえ、東宝俳優の名が的確に出てきたところがうれしい。

明治神宮はその名の通り明治天皇が奉られており、造営は1915年(大正4年)から開始され、全国から13,000人もの国民が労力奉仕に自発的に参加したという。鎮座祭は、1920年(大正9年)11月1日に行われた。まだ100年経っていないのだ。



(撮影・2007・11・28)



巡礼メモ

明治記念館は「社長洋行記」(1962 監督・杉江敏男)にも登場する。
桜堂製薬の本田社長(森繁久弥)の娘、めぐみ(中真千子 )と修司(江原達怡 )の結婚式場としてである。
新しもの好きの社長であるが、結婚などの行事に関しては伝統的な格式を重んじているという表現が、森繁社長の性格をよく表していると思う。
本館の左右に新しい建物を増築したようだ。しかし本館の細部は見事に保存されていることがわかる。


(撮影・2007・11・28)

(撮影・2007・11・28)


自慢コーナー


デパートでスーツを買った。
「サービスで内側に刺繍でネームが入れられますが」
「名字だけでなくフルネームでもいいんですか?」
「それは、もう」
「本名でなくてもいいんですよね」
「かまいませんが」
「ではこう入れてください」

堂本平太郎は「太陽ペイント株式会社」の社長の名前だ。


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