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社長繁盛記 (1968)監督・松林宗恵


開始より0:01(東京都世田谷区岡本3丁目)

「♪ あなたが噛んだ 小指が痛い きのうの夜の 小指が痛い」
(映画公開の前年、1967年にヒットした伊東ゆかりのヒット曲「小指の想い出」)

と口ずさみながら牛乳配達の少年(大沢健三郎)が自転車で牛乳を配っているシーンから本作品が始まる。
社長シリーズの最初のシーンといえば朝の社長宅、ということが多い。今回もそうなのだが、牛乳配達の少年はまずこの奇抜な形をした建物に牛乳を置く。しかしここは社長宅ではなく、社長宅の近所という設定のようだ。
それにしてもこの丸い窓がいくつも並んでいる建物は気になる。何なのだろう。この映画を見た人は皆そう思ったに違いない。そしてここはどこなのだろう。





(撮影・2017・03・07)





(撮影・2017・03・07)

遠く富士山を望む高台で社長宅にふさわしい場所、何となくここは世田谷区の岡本ではないかと見当をつけていたが、現在このような建物は見つからない。
「世田谷区 丸い窓」と検索しただけで情報が見つかった。
やはりこの建物はかつて岡本にあり、設計者から「試みられた起爆空間」と名付けられた個人の住宅だったようだ。映画では建物の一部しか映らないので気がつかなかったが、ほぼ正方形の壁面に5X5=25個の窓が並び、それが4面で合計100個の丸窓がある。それで通称「百窓」と呼ばれていたらしい。





1975年航空写真 国土地理院

さらに調べてみるとこの建物、1966年に完成して1985に解体されているようだ。そこで建物存在時の1975年撮影の航空写真を見てみる。おお、あるある。
完成から50年、解体されてからもすでに30年。今見ても新しい試みのこの建物。当時はさぞかし話題になったことだろう。




開始より0:13(東京都千代田区九段南1丁目・千代田会館ビル)

朝の社長宅シーンの次は会社への出社シーン。これも社長シリーズのセオリーだ。
今回森繁が社長を務めるのは「高山物産株式会社」。場所は九段だ。社屋に使われたのは「千代田会館ビル」。現存する。
映画画面で建物の三階の窓から左側に少しだけ見えているのが「日本武道館」。建物の並びの先の方に見える和風の屋根は「九段会館」。





(撮影・2008・12・23)





(撮影・2008・12・23)





開始より0:13(東京都千代田区九段南1丁目・清水門橋)

社長シリーズの前作「社長千一夜」から森繁社長の秘書には黒沢年男(役名・田中)が抜擢されている。小林桂樹は部長に昇進。このシーンで一緒に写っているのは同僚の中川(酒井和歌子)。
ここは社屋からはすぐ隣にある北の丸公園に渡る「清水門橋」だ。背景右に「日本武道館」が見える。




(撮影・2008・12・23)




開始より0:25(愛知県犬山市字内山・博物館明治村)

名古屋に出張した社長と秘書田中は「博物館明治村」を訪れる。
するとそこで明治文化に興味を持っている有賀総務部長(加東大介)に偶然会い、取引先であるアトラス自動車の藤川社長(中村伸郎)を紹介される。藤川社長は館内に保存されている街路灯を自ら掃除している。




(撮影・2008・01・04)

正直言って、この街路灯が映画に出てくる街路灯そのものかどうかはわからない。館内には同じものが複数あって、撮影した方向もわからないからだ。しかし同じ型のものには間違いない。




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続 社長繁盛記 (1968)監督・松林宗恵


開始より0:07(東京都千代田区北の丸公園)

会社の近くの公園を歩く社長秘書田中(黒沢年男)と同僚の中川(酒井和歌子)。
ここは社屋からは堀を挟んですぐ近くの「北の丸公園」だ。





(撮影・2008・12・23)

背景の瓦屋根の建物は北の丸公園に入る「清水門」。
北の丸公園に入るにはもう一つ、靖国通りに面した「田安門」がある。「田安門」は武道館に近く、交通の便も良いし桜で有名な千鳥ヶ淵もあり見物客で賑わっている。一方この「清水門」のあたりは訪れる人があまりいなく、静かな雰囲気で歩ける。




開始より0:29(東京都府中市若松町5丁目・明治大学府中ブラウンド・旧三井物産総合運動場)

社長の唱える「若返り精神」を奨励するため、35歳以上の社員で行われることになった体力テスト。
会場は外部の運動場を借り切って行われた設定のようだ。





(撮影・2012・01・02)

この会場になったグラウンドがいったいどこなのか、長年考えていた。
ここがどこなのかわかったのは、日頃ご協力いただいている「風間ちゃん」さんからの情報だ。「夏の若大将」さんという方が明らかにされたらしい。ありがとうございました。
ここは当時、三井物産の更生施設であり、現在は明治大学のグラウンドになっている、府中市にある広大な敷地だ。
敷地内のグラウンド配置、施設建物などは作品撮影時と変わってしまっている部分も多いようだが、入口付近はそれほど変わっていない。作品で「体力テスト」の立て看板が立てかけられていた入口のフェンスがそのまま残っていた。


●写真左(作品画面の一部を拡大したもの)
フェンスにはプレートが取り付けられてあるが、「高山物産株式会社体力テスト会場」と書かれた立て看板で隠れてしまっている。
しかしよく見ると立て看板の右側には「総合運動場」の文字が、左側の赤い円内にはかろうじて「三」の文字が判読できる。
文字幅を揃えて推測してみると「三井物産株式会社総合運動場」と書かれてあったので間違いないと思う。

●写真右(撮影・2012・01・02)
現在のフェンスの様子。
「明治大学府中グラウンド」と書かれたの案内板の後ろに「三井物産」のプレートが取り付けてあった痕跡が残っていた。
プレート自体といい、その取り付け跡といい、隠されることが多い運命にあるのかもしれない。

(協力・風間ちゃんさん・夏の若大将さん)



開始より0:42(愛知県犬山市字内山・博物館明治村)

「明治村」に歴史的な建造物である火力発電所を移設することになった。その実現に貢献した高山社長が地鎮祭に招かれる。
鍬入式(くわいれしき)を行う高山社長。
精神的にも肉体的にも若返りを目指すことにした高山物産であるが、はからずも社長は腰を痛めてしまう。





(撮影・2008・01・04)

火力発電所移設予定地(あくまで作品中での架空の建築物)は明治村の東南端、入鹿池を見下ろす高台という設定のようだ。その場所は村内を走る京都市電の発着地(品川燈台駅)になっており、現在では市電を利用する客の待合所が出来ている。

明治村には「村長」を任命されている人がいる。 初代「村長」は徳川夢声。二代目村長は森繁久彌が継ぎ、2004年からは小沢昭一が三代目村長に就任している。 徳川夢声は別として、森繁久彌、小沢昭一両氏はたまたまこの「社長繁盛記」に出演している。これが本当にたまたまなのか、もしかしたらその時の縁なのか。
(2017追記・現在の村長は阿川佐和子)




開始より0:43(愛知県犬山市犬山北古券・名鉄犬山ホテル)

地鎮祭に出席した高山社長と田中秘書が宿泊するのは「名鉄犬山ホテル」だ。
社長が出張とくれば浮気をしないわけがなく、今回のお相手はクラブのママ秋子(浜木綿子)だ。
画面左側の丘の上に「犬山城」の天守閣が見える。





(撮影・2008・01・04)





(撮影・2008・01・04)

鍬入式で腰を痛めて、田中秘書に担がれるようにしてタクシーを降りる社長。
そのタクシーを見てほしい。映画に写っているタクシーと、巡礼時に偶然ホテルの玄関先に停まっていたタクシー。同じ「名鉄」のタクシーだ。配色も一緒。ドアの開き方も一緒。撮影時にはまったく気づかず、東京に帰ってから気づいて驚いた。巡礼の神様っているんだなあ。




開始より0:49(愛知県犬山市)

高山社長は秘書がいては浮気がやりにくいので小遣いをやり「日本ライン(木曽川)の川下りでもして来い」と田中を追い払う。





(撮影・2008・01・04)

これも画面左側の丘の上に「犬山城」の天守閣が見える。




開始より0:49(愛知県犬山市)

ホテルの従業員から新幹線の切符を受け取る田中。





(撮影・2008・01・04)

背後に見える鉄橋は名鉄犬山線が木曽川を渡る「犬山橋」。 現在の写真の左上に黒く写っているのは作品製作時にはまだなかった道路橋の「犬山橋」で愛称「ツインブリッジ」。2000年に開通した。

今回の明治村、犬山城近くの木曽川など愛知県巡礼については現地に詳しいメタBOの若大将さんに案内していただきました。その節はお世話になり、ありがとうございました。

(協力・メタBOの若大将さん)


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