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クレージー大作戦 (1966)監督・古澤憲吾


開始より0:15(静岡県伊豆の国市長岡・宗徳寺・長岡保育園)

刑務所に服役中の囚人らが看守も巻き添えにして脱獄し、10億円の現金を盗み出そうとするという、いつにも増してパワーアップしたストーリー。

看守の加古井(ハナ肇)は服役中の石川(植木等)らと共に、所内でジャズバンドを組み、自由時間を利用して練習している。ある日、一行7名は老人ホーム(劇中では「養老院」と言っている)に慰問演奏に出かける。加古井と囚人らは縄で繋がれている。ところが囚人らは加古井も道連れにして脱走を企てるのだ。

老人ホームのロケには、静岡県にある宗徳寺という寺に付属する(かどうか正確には分からないが隣接している)長岡保育園を老人ホームに見立てて撮影が行われている。(建物内はセット)




(撮影:Hiroyuki Sasakiさん 2014・03)

↑ 演奏しながら行進をするふりをして老人ホーム(保育園)を出る一行。
現在、保育園は近代的な建物に建て替えられている。






(撮影:Hiroyuki Sasakiさん 2014・03)

↑ 老人ホームから出ると一目散に逃げる囚人たち。看守の加古井(ハナ肇)(以下は役名ではなく出演者名で記載することにする)は引きずられるようにしながら呼び戻そうとする。
正面に見えるのが宗徳寺の山門、右手に保育園が見える。






(撮影:Hiroyuki Sasakiさん 2014・03)

↑ ついに脱獄は成功してしまう。というか最初から囚人6人に看守1人は無茶な気もするが。
それにしてもこのストリートビューも入らない場所、よく判明したものだ。

(協力・「麻布 田能久」 さん・Hiroyuki Sasakiさん)


ちなみに時間は前後するが、この老人ホームシーンの前に刑務所のシーンがある。このロケに使われた刑務所は静岡刑務所(劇中では「砂橋刑務所」となっている)ということだ。これも「麻布田能久」さんの調査で特定されている。
下の画像は作品に出てくる「砂橋刑務所」と、ストリートビューで見た現在の「静岡刑務所」。おそらく同じ方向から撮影したものだろう。敷地内の給水塔や建物が合致していることが確認できる。
静岡刑務所は「1967年8月22日(葵区)駿府町より現在地に移転」とある。撮影が行われたのは静岡刑務所が建設途中だった時期と思われる。それにしてもよく許可が下りたものだと思う。

(協力・「麻布 田能久」 さん・Hiroyuki Sasakiさん)






開始より0:16(静岡県伊豆市修善寺)

一行7名は車を盗み、とある街道を逃げる。すると案の定検問が。
植木が運転する車はそれを避けようと、乱暴にも交番の横の通行止めになっている道に逸れる。(青矢印の方向)
いったいここは。




(撮影・2014・03・19)

↑ 道の分岐点に建てられたこの交番はセットのようだ。セットなのか? セットなのだろう。よく出来ている。
植木らが車を進めた脇道、現在は舗装されているが車は通れない歩行者専用の道になっている。背景の山の稜線の一致に注目してほしい。





↑ さて、この場所の特定なのだが、植木らの車が通行止めになっている横道にそれると、それを見つけた警官(青島幸男)が振り向くカットがある。その時一瞬、背後に「塩崎工業所」と書かれた看板(赤矢印)が見える。これが手がかりだ。検索してみると静岡県に該当する物件がある。静岡刑務所を出て後述する修善寺へ向かう途中。ここで間違いないだろう。




(撮影・2014・03・19)

↑ 通行止めの道を進むと本当に行き止まりになってしまう。駆け寄る警官に言い訳をする囚人たち。
矢印はわずかに見える修善寺駅のすぐ近くに架かる「修善寺橋」。
これから一行はこの修善寺橋を渡り、そのたもとにある百貨店へ目立つバンドの制服からの着替えの調達に向かう。

(協力・Hiroyuki Sasakiさん)




↑ しかしここにちょっと惑わせるような物が写っている。検問をしている交番の看板だ。よく見ると「埼玉県入間警察署・小川派出所」と読める。最初は埼玉県にロケ地を探してしまった。しかし静岡刑務所を脱走して、後述する修善寺の橋のシーンへ行く途中、どうして埼玉なんだ。どう考えても不自然だ。何故ここを埼玉県に見せたかったのか。




開始より0:17(静岡県伊豆市柏久保・伊豆箱根鉄道駿豆線 修善寺駅近く「修善寺橋」付近)

修善寺橋で狩野川を渡り、検問の巡査に教えられた百貨店へ。




(撮影・2014・03・19)

↑ 一行を乗せた車が修善寺橋を渡る。橋は赤く塗り替えられていた。
これは我ながら、なかなかの会心ショットだと思っている。






(撮影・2014・03・19)

↑ 修善寺駅方向から見たカット。正面が修善寺橋、右が洋服を調達した「丸大百貨店」(当時実在)。現在は店舗が入っていないようだが建物は当時のまま残っている。作品画面には道路左側に「プリマハム」の看板が見え、現在も同じ場所に精肉店が存在する。ここも山の稜線に注目してほしい。
(協力・「麻布 田能久」 さん・Hiroyuki Sasakiさん)






(撮影・2014・03・19)

↑ 百貨店で既製服を調達した植木たち。支払いは出来ないので百貨店のトイレでモップを燃やしてボヤ騒ぎを起こし、そのドサクサに紛れて逃げる作戦。
実際に窓から炎が燃え上がっている。大丈夫なのかいな。


より大きな地図で クレージー大作戦・修善寺 を表示

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さて、ここで「静岡刑務所」から始まり「修善寺温泉」までの静岡県ロケシーンは終わる。

もう一度考えてみよう。なぜ「静岡」なのか。
実は劇中では一言も「静岡」だとは言っていない!
私たちはこのロケシーンの実際の撮影場所が「静岡県」であることを知った。だから場所の設定も当然静岡と思いこんでいる。しかし思い込んでいただけなのではないだろうか。
前述した「埼玉県入間警察署・小川派出所」の看板が見えるシーンを思い出してみよう。物語の設定は実は「埼玉県」なのではないだろうか。
もう一つそれを裏付ける材料がある。植木らが老人ホームを慰問した後、近くに停めてあった車を盗んで脱走を図る。 その車のナンバープレートが映るカットが少なくとも二回ある。そこには「埼」(埼玉ナンバー)の文字がはっきり映っている。それも撮影用に手描きして、わざわざ埼玉ナンバーに見せようとしている。
このロケシーンの設定は埼玉県である、と結論付けていいと思う。

(協力:シー9156さん)








開始より0:48(東京都渋谷区渋谷3丁目・東急東横線渋谷駅)

一行は東京へとたどり着く。
ここは東急東横線の渋谷駅ホーム。
東横線の渋谷駅が2013年3月16日から地下化するというので、高架駅が廃止になる5日前の3月10日に見納めてきた。




(撮影・2013・03・10)

↑ 作品では始発の発車前という設定なので、まだホームは薄暗い。手前が改札口方向で向こうが代官山への進行方向。作品では1番線に始発電車が待機している。
現在写真、なにげない日常の東横線ホームのように写っているが、実はこの写真を写している私の背後にはうじゃうじゃと鉄道ファンの方々がカメラを構えているのだ。その中に妙に撮影位置だけにはこだわりをみせているおっさんが一名いたわけです。






(撮影・2013・03・10)

↑ 地上階の改札口へ降りる階段。
外から見ても東横線渋谷駅ホームの特徴である逆三角形の形状が並んだ壁面が右側に見える。





(撮影・2013・03・10)

↑ 運転手に時間を確かめる看守のハナ肇。ここは代官山駅寄りのホーム先端。
ホーム先端にも鉄分の多い方々の一団が見える。
この文章を書いているのは本日の始発から地下駅になるという3月16日の午前1時。地上駅からは最後の発車になる終電はもう出てしまっただろうか。

(協力・「麻布 田能久」 さん)


巡礼メモ


(写真左は「クレージー大作戦」から。写真右の撮影・2014・12・29)

「クレージー大作戦」に登場する東横線の車両は「東急5000系」というらしい。1980年頃に退役している。
同じ形式の車両が現在、渋谷駅のハチ公前広場に展示されている。その車両の前面には「5001」と表示されている。映画に写っている車両も「5001」となっている。
「東急5000系」で画像を検索すると、5000番代でいろいろな番号が存在する。「5001」というのは5000系の1号車ということではないだろうか。
鉄道に詳しくないので分からないが、このハチ公前の車両、作品に写っている車両そのものなのかもしれない。
しかし展示してあるこの車両、前後に切り詰めてある。走行していた本物の5000系は片側に3枚のドアがあるが、展示車両は2枚。ハチ公前という限られた場所ということを考えるとしかたがないだろう。
この5001、廃車後、工場に保管されていたものを展示用に改造したものとのことだ。

(協力・宮の杜さん)



開始より0:49(東京都渋谷区道玄坂1丁目)

脱走囚を追う刑事。
ここは東急東横店西館を突き抜けて通る営団地下鉄(現東京メトロ)銀座線ガード下。




(撮影・2013・03・10)




(撮影・2013・03・10)



開始より1:05(東京都新宿区西新宿1丁目・京王百貨店新宿店屋上)

植木と谷がデパートの屋上に現れる。
ここは1964年にオープンした新宿の京王百貨店屋上。




(撮影・2013・03・10)

↑ 現在ではデパートの屋上など昔と違って上がれないのでは、と心配したがこの京王百貨店、屋上には今でも子供が乗る汽車が走っていたりして嬉しくなった。
映画画面の奥に見えるビルの塔屋に小田急百貨店のマークが見える。京王百貨店より2年早い1962年に開業した小田急百貨店だ。しかし現在の小田急百貨店ではなく、現在は「ハルク」となっているビル。1967年に現在の小田急百貨店本館がオープンし、それまでの小田急百貨店は「別館小田急ハルク」となり、現在の「ハルク」に至っている。






(撮影・2013・03・10)

↑ 京王デパート屋上から西方向を望む。
植木らが立っているのは屋上階から更に一階分くらい上がった展望台なのだが、現在は展望台が撤去されているので屋上階から撮影。
西口ロータリーに面した安田生命(現明治安田生命)ビルは当時からあるが、その向こうを見てほしい。現在の新宿副都心の高層ビル群が出来る以前の平地が写っている。これはこの時すでに稼働が停止している淀橋(よどばし)浄水場跡だ。淀橋浄水場は1965年廃止とあるので、この時点ではまだ更地にもなっていない状態ではないだろうか。

(協力・さぶろうさん)
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