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クレージーのぶちゃむくれ大発見 (1969)監督・古澤憲吾


開始より0:04(東京都渋谷区桜丘町)

コンピューターを開発、販売する東西電気の社員、花川戸大五郎 (ハナ肇)の妻、若子(春川ますみ)は金を工面しに思い切って質屋に行く。質屋に入るのをためらっていると見知らぬ男、植村浩(植木等)に声をかけられるシーン。 ロケ地は渋谷駅から2〜3分のところだ。





(撮影・2007・09・02)
質店の建物は建てかえられてはいたが今でも存在していた。しかし閉まったシャッターには今年の春に閉店したとの張り紙が・・・。







(撮影・2007・09・02)
質店から連れだって歩く若子と植村。右手に見える薬局は今もある。このあたりの建物はほとんどが建てかえられ、特徴のある交差点の地形と坂、この角度からは建物の隙間からわずかに覗く山手線の線路だけが面影を残している。




開始より0:33(東京都目黒区目黒)

花川戸大五郎(ハナ肇)、植村浩(植木等)、谷井明(谷啓)の三人は公金横領で逮捕されるが、疑いが晴れ釈放される。三人は高級クラブ「あんぶれら」の元人気・1のホステス好子(中山麻里)に迎えられ、予め借りておいたマンションへ向かう。

マンションの名称は「目黒台マンション」となっている。しかしこれはこの作品の為の架空の名称ではなく、このマンションの実名だ。作品中では賃貸マンションという設定だが、実際は分譲マンションのようである。
その「目黒台マンション」は現在でも、ほとんどそのままの姿で存在している。





(撮影・2008・04・20)
「目黒台マンション」は玄関横が広々としていたり、小さいながらも池があるなど、現在の都内のマンションより余裕のある造りに思える。







(撮影・2008・04・20)
マンションのエントランス。40年近くが経過しているが、ほとんど変わっていない。壁面に取り付けられた「目黒台マンション」の切り抜き文字も全くそのままだ。

(協力・メタBOの若大将さん)




巡礼メモ 1

かつて映画撮影されたのロケ地を訪れてみるのはおもしろい。時間旅行をしている気分になれる。しかしそのロケ地が見てすぐわかる有名な所であるとか、その場所を示すセリフがあるとかなら、そこが何処なのかはすぐに分かるのだが、そうではなくて、ある住宅地であるとか、ある商店街であるとかだと「ここは何処なんだろう」という興味がわいてくる。
その、ここは何処なんだを特定する材料としては、作品を詳細に見る以外、以前なら映画関係の文献くらいしかなかったわけだが、最近では画面に写っている施設や商店の名前をネットで検索してみるとか、東宝のDVDだとオーディオコメンタリーにヒントがあったり、また作品によってはズバリ、ロケ地を紹介する映像特典がついている場合もあり、とても便利になってきている。
とはいえ、作品の撮影から数十年経ってロケ地の様子が一変してしまっている場合も多い現在、少ない材料でロケ地を特定するのは難しいことも多い。

この「聖地巡礼」の中の多くのロケ地紹介については、愛知県に在住しておられる「メタBOの若大将」さんという方に絶大な協力をいただいている。ではこの方がどのようにしてロケ地を特定しているのか、この「クレージーのぶちゃむくれ大発見」の渋谷区桜丘町を例にとって紹介してみたい。



春川ますみが行く質屋のあるシーンはどこで撮影されたのだろう。
商店街の坂を下ってくると左手に質屋がある。のれんには「松屋」の文字が。


植木等に声をかけられ、カメラは同じ位置で180度逆の方向を写す。坂の下の交差点はやや複雑な形をしているようだ。
そして建物の隙間から黄色い電車が走っているのが見える。


春川と植木が立ち去ると、右手に「桜や薬局」と読める看板が見える。
以上の材料から検索をかけるなどして調べるがわからない。黄色い電車ということで総武線沿線の地図を調べるが一致する場所は見つからない。


あるとき「大冒険」を見ていると、植木が住んでいるアパート近くのシーンで電柱に「松屋質店」の看板を発見。写真では分かりずらいが、ご丁寧に矢印で方向まで書いてある。これはもしかしたら「クレージーのぶちゃむくれ大発見」の「松屋質店」と同一の店かもしれない。


「大冒険」のアパートなら渋谷の桜丘(さくらがおか)町だ。山手線は1963年に新型車両が導入された時期から現在のグリーンのはずだが(ニッポン無責任時代の項参照)、この時期はまだ旧型の黄色と混在していたのかもしれない。
その近辺を地図で確認してみる。すると「大冒険」のアパートからわずか数十メートルの位置に、道路の形状、線路の位置からして酷似している通りを発見。どうやらここに間違いなさそうだ。

といった具合だ。こうした作業が東京を舞台にしている映画のロケ地からは遠く離れた愛知県で行われているのが面白い。
私は東京に住んでいるので、こうした情報をいただくと「ああ、そうなんですか」とカメラを持って電車に乗れば、すぐに現場に着いてしまう、という事がありがたくも、申し訳なくもある。


巡礼メモ 2



「目黒台マンション」は調べてみると1968年に建築されたことが分かった。作品公開の前年である。その後に訪れるマンションブームのさきがけ的な存在だったのだろう。

「あら、このマンションが映画に出てるの?」
「あたしたちはこのマンションが出来た頃から、ここに住んでるのよ〜」

さぞかし素敵な目黒マダムであったに違いない。
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