モデルアート 1988年4月号
MOEBIUS models [MARS ATTACKS Martian warrior]


今回も前回のノーチラス号に引き続き、雑誌社からの依頼ではなく、すでに製作したものを載せていただいた。
トレーディング・カードのイラストを立体化したキットで、塗装もイラスト風を狙ってみた。こう言うのは作っていて、ほんと楽しい。


↑ TOPPS社のカードとキットのパッケージ

MARS ATTACKS!
Moebius




かつてアメリカに「オーロラ(AURORA)」というメーカーがあり、コミックや映画、テレビに登場するモンスター物などのキットを数多く発売し、人気を博していたことは今更言うまでもないと思います。しかし1977にオーロラ社は活動を停止してしまいました。
しかしオーロラのスピリッツを受け継いだメーカーがあります。「ポーラーライツ(POLAR LIGHTS)」社と「メビウス (MOEBIUS)」社です。旧オーロラ社の金型、あるいは旧製品を基にして新たに金型を作った復刻版、またあるいはオーロラテイストの全く新しい製品などが製品化されています。

オーロラのマークは楕円形の中に「AURORA」と書かれていました。「POLAR LIGHTS」もそれに倣って文字が楕円形で囲まれています。「POLAR LIGHTS」は訳せば「極地の光」、そう、オーロラのことですね。
「MOEBIUS」は「メビウスの輪」(薄く細長い帯を半ひねりして輪にすると、裏と表の境目がない不思議な形状ができることを発見したドイツの数学者の名からそう呼ばれている)からきているのでしょうか。「MOEBIUS」も楕円形のマークなのですが、あっ!もしかして? おー!やっぱり! 周りの楕円形が半ひねりされている!うーん、「POLARLIGHTS」も「MOEBIUS」も洒落てますね。

さて、今回は「メビウス」の「マーズ・アタック」です。「マーズ・アタック」というと、ティム・バートン監督の映画(1996年)が思い浮かびますが、このキットはそれとは違います。その映画の基にもなった、1962年にアメリカで発売されたチューインガムのオマケに付いていたトレーディング・カードに描かれていた絵を立体化したものです。カー ド登場から50周年を記念した製品とのことで、新金型です。
パッケージに(The Topps company Presents)とあるのは、トップス社のカードを基にしている、ということです。

銃をかまえてグッと睨んだ火星人、その足元に倒れている人間、下水の側溝がある歩道、そして高くそびえる街路灯。申し分のない構図です。とてもセンスを感じます。
倒れている人間は、頭部と持ち上げている右手を除いてベースになっている歩道と一体にモールドされています。体が別パーツになっていればもっとリアルな立体感が得られるのでしょうが、私はむしろこのチープさが題材によく合っているように思えて、とても気に入ってます。
作例ではキットのベースにさらにベースを付け、意味もなくタイルなど貼ってみました。それと街路灯にLED電球を仕込みました。タイルはともかく、電球は雰囲気を盛り上げてくれた気がします。塗装もイラスト風を狙ってみましたが、いかがでしょう。



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